【セルロース配合×生分解性樹脂】相溶性の考え方をわかりやすく解説!分散不良・強度低下を防ぐポイント
- n6nomura
- 6月19日
- 読了時間: 4分
近年、環境配慮材料として生分解性樹脂への注目が
高まっています。
【セルロース】を配合する事で、コスト低減や剛性向上
バイオマス度向上を目指す開発が増えています。
しかし実際にコンパウンドを行うと、
・セルロースが均一に分散しない
・強度が思った程向上しない
・フィルムや成形品が脆くなる
・外観不良が発生する
といったかっ台に直面する事があります。
その大きな原因の一つが【相溶性】です。
今回は、生分解性樹脂とセルロースを配合する際に
重要となる相溶性の考え方について解説します。
■なぜセルロースと生分解性樹脂は混ぜりにくいのか?
●セルロースは木材や植物繊維の主成分であり、分子中に
多数の水酸基(OH基)を持っています。
その為非常に親水性が高い材料です。
一方で代表的な生分解性樹脂であるPLA(ポリ乳酸)や
PBS、PBAT等は比較的疎水性を持っています。
つまり、
・セルロース :水になじみやすい
・生分解性樹脂:水を嫌う
という性質の違いがあります。
※この性質の差が大きいほど界面接着力が低下し
十分な性能を発揮できなくなります。
■相溶性が悪いと起こる問題
①強度低下
●セルロースと樹脂の界面が弱い場合、外力が加わった際に
界面剥離が発生します。
結果として、
・引張強度低下
・衝撃強度低下
・伸び率低下
が発生します。
※せっかく補強材としてセルロースを添加しても
逆に脆くなるケースもあります。
②分散不良
●セルロースは凝集しやすい特徴があります。
相溶性が低い場合
・白点
・ダマ
・フィッシュアイ
等の原因となります。
※フィルム用途では透明性悪化にも繋がります。
③成形不良
●セルロース凝集物は流動を阻害します。
その結果、
・ダイスジ
・表面荒れ
・厚みムラ
・フィルム破れ
等の不具合に繋がる事があります。
■相溶性を改善する方法
①相溶化剤を使用する
●最も一般的な方法です。
相溶化剤は、
・セルロース側と結合する分
・樹脂側の親和性を持つ部分
を併せ持っています。
界面接着を向上させる事で、
・分散性向上
・強度向上
・外観改善
が期待できます。
②セルロース表面処理
●セルロース側を改質する方法です。
代表例として、
・シランカップリング処理
・アセチル処理
・脂肪酸処理
等があります。
※セルロース表面の親水性を低減する事で、生分解性樹脂
との親和性を向上させます。
③セルロース粒径の最適化
●粒径が大きいほど教習しやすくなります。
一般的には、
・微粉化セルロース
・セルロースナノファイバー(CNF)
等を活用する事で分散性向上が期待できます。
※ただし微細化すると表面積が増える為、乾燥管理が
より重要になります。
■水分管理も相溶性改善には重要
●セルロースは非常に吸湿しやすい材料です。
乾燥不足のまま押出機へ投入すると、
・加水分解
・分子量低下
・ガス発生
・発泡
等が発生します。
※特にPLAとの組み合わせは注意が必要です。
コンパウンド前には十分な乾燥を行い、
・セルロース
・生分解性樹脂
双方の水分管理を徹底する事が重要です。
■生分解性樹脂別の相溶性傾向
①PLA×セルロース
・剛性向上効果が高い
・相溶加材の効果が出やすい
・乾燥管理が重要
②PBS×セルロース
・比較的柔軟性を維持しやすい
・フィラー配合量を増やしやすい
③PBAT×セルロース
・柔軟性を活かした設計が可能
・相溶化剤選定が重要
■まとめ
●セルロースは植物由来で環境負荷の低い優れたフィラーですが
生分解性樹脂との間には親水性・疎水性の違いがあり
そのままでは十分な性能を発揮できない場合があります。
相溶性を改善する為には、
・相溶化材の活用
・セルロースの表面処理
・粒径の最適化
・徹底した乾燥管理
が重要となります。
生分解性樹脂コンパウンドでは、【何%入れるか】だけでなく
【いかに界面を制御するか】が最終製品の性能を大きく左右します。
セルロース配合を検討する際は、相溶性の考え方を理解した上で
材料設計を行う事が成功への近道と言えるでしょう。






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