樹脂に銀粉末を配合して得られる物性
- n6nomura
- 3月31日
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樹脂に銀粉末(Agパウダー)を配合すると、一般的な無機フィラーとは
少し違い、導電、熱、抗菌 等 特殊機能を付与できます。
以下、主な物性変化を整理します。
■樹脂に銀粉末を配合する事で得られる物性
①電気伝導性(導電性)
●銀は金属中でもっと電気伝導率が高い材料の一つです。
その為、樹脂に配合すると導電性樹脂となります。
・効果
→表面抵抗低下
→体積抵抗低下
→静電気防止(ESD対策)
→電磁波シールド(EMIシールド)
※銀粉末が連続導電ネットワーク(パーコレーション)
を形成すると導電化。
・目安配合
→10~20wt% → 半導電
→30~60wt% → 高導電
・用途
→導電接着剤
→タッチパネル電極
→センサー
→回路印刷材料
②熱伝導性向上
●銀は金属中で最高クラスの熱伝導率を持っています。
熱伝導率 銀 → 約430w/mk
その為、樹脂に配合すると放熱性が向上します。
・効果
→ヒートシンク代替
→LED放熱
→半導体パッケージ
→電子部品の熱拡散
※ただし、樹脂の熱伝導率は通常
樹脂 → 0.1~0.3W/mk なので
銀粉末を配合しても 1~10W/mk程度(高充填)
になります。
③抗菌性
●銀は、銀イオン(Ag)を放出し、細菌の増殖を抑制します。
・メカニズム(銀イオンが)
→細胞膜破壊
→酵素阻害
→DNA複製阻害
を起こします。
・効果
→抗菌
→防カビ
→防臭
・用途
→医療機器
→食品包装
→家電
→衛生部品
※抗菌はナノ銀の方が強いです。
④電磁波シールド(EMIシールド)
●銀粉末が樹脂内で導電ネットワークを形成すると
電磁波を反射、吸収します。
・シールド効果
→40~90dB程度(高充填)
・用途
→電子機器筐体
→通信機器
→車載ECU
⑤機械強度の変化
●銀は延伸金属なので、セラミックフィラーとは
少し挙動が違います。
・引張強度
→少し低下する場合あり
・弾性率
→上昇
・耐衝撃
→充填量が多いと低下
※樹脂連続相が減る為
⑥密度上昇
●銀の密度は 10.49g/㎤
樹脂は 0.9~1.4g/㎤
なので、重量は大きく増加します。
・例
→30wt%銀配合 → 比重 約2~3
⑦光学特性
●銀は金属なので強い反射性があります。
・影響
→金属光沢
→不透明
→光反射材料
・用途
→反射フィルム
・LED反射部材
⑧耐熱性への影響
●銀自体は融点961℃と高いですが、樹脂の耐熱自体は
大きく変化しません。
ただし、熱拡散向上、補遺っとスポット低減
効果があります。
⑨摩擦、摺動特性
●銀はやわらかい金属なので、潤滑効果を持つ事があります。
・効果
→摩擦係数低下
→摺動性改善
※特に、高温摺動部品に使用されます。
⑩加工性への影響
●溶融粘度
・高充填になると粘度上昇、流動性低下
●摩擦
・金属粉末なので、スクリュー摩耗、金属摩耗
の可能性あり
⑪コスト
●銀は非常に高価です。
金属粉末の中では、銀>金>銅>ニッケル>アルミ
その為、地齋の材料では、
・銀メッキ銅粉
・銀コートガラス
等を
使用する事が多いです。
■樹脂×銀粉末コンパウンド設計の重要ポイント
ポイント①:銀粉末の「形状」
●銀粉末は形状で導電性が大きく変化します。
・主な種類
形状 特徴 導電性
・球状銀粉 : 分散性が良い : △
・フレーク銀粉 : 面接触が多い : ◎
・デンドライト銀 : 枝状 : ◎◎
・ナノ銀 : 微粒子 : ◎◎
※なぜ形状が重要か?
・導電性は粒子同士が接触するかで決まります。
接触しやすい順として、
「デンドライト>フレーク>球状」
その為、同じ導電性を出す場合
・球状 : 50wt%
・フレーク : 30wt%
等、差が出ます。
ポイント②:パーコレーション(導電ネットワーク)
●導電樹脂では非常に重要です。
樹脂中で、銀粒子がネットワークを作る瞬間があります。
これをパーコレーション閾値と言います。
● ● ●
● ●
導電しない
↓
閾値到達
●─●─●
│ │
●─●
導電する
フィラー パーコレーション
・銀フレーク : 15~30wt%
・銀球状 : 40~60wt%
ポイント③:粒径(Particle size)
●粒径も非常に重要となります。
・粒径の影響
粒径 特徴
・大粒子 : 導電性良い
・小粒子 : 分散性良い
・ナノ粒子 : 表面活性高い
※導電材料では、大小ミックスがよく使用されます。
理由は「大粒子の隙間を小粒子が埋める」
結果→導電回路が増える。
ポイント④:表面処理(界面設計)
●銀粉末はそのままだと樹脂との相性が悪いです。
その為、表面処理剤を使用します。
・例
→シランカップリング
→チタン酸エステル
→有機酸
・効果
→分散性向上
→凝集防止
→機械強度改善
ポイント⑤:分散(混錬条件)
●銀粉末は凝集しやすいです。
その為、混錬が重要!!
・よく使用される装置
→二軸押出機
→三本ロール
→プラネタリーミキサー
●重要パラメーター
・条件 : 影響
・せん断 : 分散
・温度 : 粘度
・回転数 : 分散
※しかし過度なせん断は「フレーク破壊→導電性低下」
に繋がります。






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