top of page
検索

樹脂に銀粉末を配合して得られる物性

  • n6nomura
  • 3月31日
  • 読了時間: 4分

樹脂に銀粉末(Agパウダー)を配合すると、一般的な無機フィラーとは

少し違い、導電、熱、抗菌 等 特殊機能を付与できます。

以下、主な物性変化を整理します。


■樹脂に銀粉末を配合する事で得られる物性


①電気伝導性(導電性)

●銀は金属中でもっと電気伝導率が高い材料の一つです。

 その為、樹脂に配合すると導電性樹脂となります。

・効果

→表面抵抗低下

→体積抵抗低下

→静電気防止(ESD対策)

→電磁波シールド(EMIシールド)


※銀粉末が連続導電ネットワーク(パーコレーション)

 を形成すると導電化。

・目安配合

→10~20wt% → 半導電

→30~60wt% → 高導電


・用途

→導電接着剤

→タッチパネル電極

→センサー

→回路印刷材料



②熱伝導性向上

●銀は金属中で最高クラスの熱伝導率を持っています。

 熱伝導率 銀 → 約430w/mk

 その為、樹脂に配合すると放熱性が向上します。


・効果

→ヒートシンク代替

→LED放熱

→半導体パッケージ

→電子部品の熱拡散


※ただし、樹脂の熱伝導率は通常

 樹脂 → 0.1~0.3W/mk なので

 銀粉末を配合しても 1~10W/mk程度(高充填)

 になります。



③抗菌性

●銀は、銀イオン(Ag)を放出し、細菌の増殖を抑制します。

・メカニズム(銀イオンが)

→細胞膜破壊

→酵素阻害

→DNA複製阻害

を起こします。


・効果

→抗菌

→防カビ

→防臭


・用途

→医療機器

→食品包装

→家電

→衛生部品


※抗菌はナノ銀の方が強いです。



④電磁波シールド(EMIシールド)

●銀粉末が樹脂内で導電ネットワークを形成すると

 電磁波を反射、吸収します。

・シールド効果

→40~90dB程度(高充填)


・用途

→電子機器筐体

→通信機器

→車載ECU



⑤機械強度の変化

●銀は延伸金属なので、セラミックフィラーとは

 少し挙動が違います。

・引張強度

→少し低下する場合あり


・弾性率

→上昇


・耐衝撃

→充填量が多いと低下

※樹脂連続相が減る為



⑥密度上昇

●銀の密度は 10.49g/㎤

 樹脂は   0.9~1.4g/㎤

 なので、重量は大きく増加します。


・例

→30wt%銀配合 → 比重 約2~3



⑦光学特性

●銀は金属なので強い反射性があります。

・影響

→金属光沢

→不透明

→光反射材料


・用途

→反射フィルム

・LED反射部材



⑧耐熱性への影響

●銀自体は融点961℃と高いですが、樹脂の耐熱自体は

 大きく変化しません。

 ただし、熱拡散向上、補遺っとスポット低減

 効果があります。



⑨摩擦、摺動特性

●銀はやわらかい金属なので、潤滑効果を持つ事があります。

・効果

→摩擦係数低下

→摺動性改善


※特に、高温摺動部品に使用されます。



⑩加工性への影響

●溶融粘度

・高充填になると粘度上昇、流動性低下


●摩擦

・金属粉末なので、スクリュー摩耗、金属摩耗

 の可能性あり



⑪コスト

●銀は非常に高価です。

 金属粉末の中では、銀>金>銅>ニッケル>アルミ

 その為、地齋の材料では、

・銀メッキ銅粉

・銀コートガラス

等を

使用する事が多いです。



■樹脂×銀粉末コンパウンド設計の重要ポイント


ポイント①:銀粉末の「形状」

●銀粉末は形状で導電性が大きく変化します。

・主な種類

  形状        特徴      導電性

・球状銀粉    : 分散性が良い : △

・フレーク銀粉  : 面接触が多い : ◎

・デンドライト銀 : 枝状     : ◎◎

・ナノ銀     : 微粒子    : ◎◎


※なぜ形状が重要か?

・導電性は粒子同士が接触するかで決まります。

 接触しやすい順として、

 「デンドライト>フレーク>球状」

 その為、同じ導電性を出す場合

・球状   : 50wt%

・フレーク : 30wt%

等、差が出ます。



ポイント②:パーコレーション(導電ネットワーク)

●導電樹脂では非常に重要です。

 樹脂中で、銀粒子がネットワークを作る瞬間があります。

 これをパーコレーション閾値と言います。


●      ●      ●

   ●        ●

導電しない

閾値到達

●─●─●

│  │

●─●

導電する


 フィラー    パーコレーション

・銀フレーク : 15~30wt%

・銀球状   : 40~60wt%



ポイント③:粒径(Particle size)

●粒径も非常に重要となります。

・粒径の影響

  粒径     特徴

・大粒子  : 導電性良い

・小粒子  : 分散性良い

・ナノ粒子 : 表面活性高い


※導電材料では、大小ミックスがよく使用されます。

 理由は「大粒子の隙間を小粒子が埋める」

 結果→導電回路が増える。



ポイント④:表面処理(界面設計)

●銀粉末はそのままだと樹脂との相性が悪いです。

 その為、表面処理剤を使用します。

・例

→シランカップリング

→チタン酸エステル

→有機酸


・効果

→分散性向上

→凝集防止

→機械強度改善



ポイント⑤:分散(混錬条件)

●銀粉末は凝集しやすいです。

 その為、混錬が重要!!

・よく使用される装置

→二軸押出機

→三本ロール

→プラネタリーミキサー


●重要パラメーター

・条件  : 影響

・せん断 : 分散

・温度  : 粘度

・回転数 : 分散


※しかし過度なせん断は「フレーク破壊→導電性低下」

 に繋がります。







銀粉末素材 Ag素材 樹脂+銀粉末配合

 
 
 

コメント


N.6株式会社 ロゴ
bottom of page