生分解性樹脂コンパウンドで多い失敗事例5選!品質トラブルを防ぐ為のポイント
- n6nomura
- 6月24日
- 読了時間: 3分
近年、環境配慮の観点からPLAやPBS、PBAT等の生分解性樹脂
を使用したコンパウンド開発が増えています。
しかし、生分解性樹脂は一般的なPPやPEと比較して
熱や水分に敏感な為、従来の樹脂と同じ感覚で加工すると
品質トラブルが発生しやすい材料です。
実際の試作や量産現場でも、【思ったような物性が出ない】
【成形時のトラブルが起きる】【フィラーがうまく分散しない】
といった相談が少なくありません。
今回は、生分解性樹脂コンパウンドでよくある失敗事例を
5つ紹介し、その対策について解説します。
■失敗事例① 原料乾燥不足による加水分解
●発生する現象
・分子量低下
・MFRの異常上昇
・強度低下
・フィルム破れ
・成形不良
※PLAをはじめとする多くの生分解性樹脂は吸湿性があります。
十分に乾燥されていない状態で押出機へ投入すると
溶融中に加水分解が進行し、樹脂分子が切断されてしまいます。
●対策
・原料乾燥を徹底する
・乾燥後の放置時間を短くする
・ホッパードライヤーを活用する
・真空ベントを適切に使用する
■失敗事例② 混練しすぎによる熱劣化
●発生する現象
・樹脂の黄変
・焦げの発生
・異臭
・物性低下
※生分解性樹脂は熱履歴に弱く、過度なせん断エネルギーを
与えると分解が進みます。
分散をよくしようとしてニーディングブロックを増やし
すぎると、逆に品質悪化に繋がるケースがあります。
●対策
・必要以上の混練を避ける
・滞留時間を短くする
・シリンダー温度を最適化する
・スクリュー回転数を見直す
■失敗事例③ フィラーや天然素材の分散不良
●発生する現象
・ダマの発生
・外観不良
・物性バラつき
・成形不良
※セルロース、木粉、澱粉、無機フィラーなどを配合する場合
十分な分散が得られない事があります。
特に天然素材は凝集しやすく、投入方法によって
品質が大きく変化します。
●対策
・サイドフィーダーの活用
・フィラーの事前乾燥
・スクリュー構成の最適化
・分散行程と脱揮工程の設計
■失敗事例④ ブリッジや供給不良
●発生する現象
・吐出量の変動
・圧力変動
・ストランド切れ
・品質バラつき
※セルロースや軽量フィラーを高配合すると、ホッパー内で
ブリッジが発生する場合があります。
原料がスムーズにに供給されないくなる為、押出量が
不安定になります。
●対策
・ホッパー形状を見直す
・撹拌機構を設置する
・強制供給フィーダーを使用する
・原料粒径を管理する
■失敗事例⑤ 眞空ベント不足によるガス残り
●発生する現象
・ボイド発生
・ペレット表面荒れ
・フィルムのピンホール
・成型品の銀条
※天然素材や吸湿性材料を配合した場合、押出中に
水分や揮発成分が発生します。
ベント能力が不足するとガスが抜けきらず
製品品質に悪影響を及ぼします。
●対策
・真空ベントを活用する
・ベント前で十分な溶融状態を作る
・シールゾーンを適切に設計する
・真空度を定期的に確認する
■まとめ
●生分解性樹脂コンパウンドでは、
原料の乾燥不足による加水分解
過度な混練による熱劣化
フィラーや天然素材の分散不良
ブリッジによる供給不良
ガス抜き不足による品質トラブル
が特によく発生する失敗事例です。
一般樹脂のコンパウンドと比較すると、生分解性樹脂は
【水分】【熱履歴】【せん断】の影響を受けやすい為
装置条件やスクリュー設計が品質を大きく左右します。
安定した品質のコンパウンドを実現する為には、材料特性を
理解した上で、乾燥・混練・脱揮・供給の各工程を
最適化する事が重要です。
生分解性樹脂のコンパウンド開発では、【混ぜる技術】
だけではなく、【劣化させない技術】が成功の鍵となります。






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