高充填コンパウンドは可能?生分解性樹脂の限界と対策を解説!
- n6nomura
- 6月26日
- 読了時間: 4分
生分解性樹脂へのフィラーや天然素材の高充填化は
コストダウンや機能付与、環境価値向上の観点から
注目されています。
しかし、【無機フィラー50wt%以上を入れたい】
【セルロースや食品残渣を大量に配合したい】
と考えた際、多くの開発者が加工トラブルや物性低下に
直面します。
本記事では、生分解性樹脂における高充填コンパウンドの限界と
その対策についてわかりやすく解説します。
■生分解性樹脂はなぜ高充填が難しいのか?
●一般的なPPやPEと比較すると、生分解性樹脂は熱やせん断に
弱い傾向があります。
代表的な樹脂として、
・PLA
・PBS
・PBAT
・PHA
等がありますが、多くは分子量低下を起こしやすく
高充填時の加工条件に注意が必要です。
特にフィラー量が増えると、
・トルク上昇
・樹脂流動性低下
・滞留時間増加
・発熱増加
が発生し、樹脂劣化に繋がります。
■高充填時によく発生するトラブル
①押出量が出ない
●フィラー量が増えると溶融粘度が上昇します。
その結果、
・スクリュー回転数が上がらない
・吐出量が低下する
・圧力が上昇する
といった現象が発生します。
特に50wt%以上では急激に加工性が悪化する
ケースもあります。
②ペレットが脆くなる
●高充填化すると樹脂成分の割合が減少します。
その為、
・ストランド切れ
・ペレット割れ
・粉化
が発生しやすくなります。
特にPLAは脆性破壊を起こしやすい為注意が必要です。
③成形品強度が低下する
●高充填化は必ずしも強度向上に繋がりません。
分散不良や界面接着不足があると、
・引張強度低下
・衝撃強度低下
・伸び低下
が発生します。
配合設計だけでなく分散技術も重要になります。
④水分由来の加水分解
●天然素材や無機フィラーは水分を持ち込む事があります。
この水分によって、
・分子量低下
・黒点発生
・ガス発生
・臭気発生
等の問題が起こります。
生分解性樹脂では特に重要な管理項目です。
■高充填コンパウンドを成功させるポイント
①原料を十分に乾燥する
●最も重要な対策です。
樹脂だけでなく、
・セルロース
・木粉
・酵母
・澱粉
・無機フィラー
についても事前乾燥を行います。
原料管理だけで歩留まりが大きく改善する事もあります。
②スクリュー設計を最適化する
●高充填では混ぜる力だけでなく、【樹脂を壊さない事】
も重要です。 その為、
・適度なニーディングを減らす
・緩やかな分散混練を行う
・滞留を減らす
設計が求められます。
生分解性樹脂では特に低せん断設計が有効です。
③サイドフィードを活用する
●フィラーを後段投入する事で、
・樹脂へのせん断負荷低減
・吐出安定化
・分子量維持
が期待できます。
高充填案件では非常に有効な手法です。
④相溶化剤・分散剤を検討する
●高充填時は界面接着が重要になります。
適切な相溶化剤を使用する事で、
・強度向上
・分散性向上
・成型性向上
が期待できます。
特にセルロース系や天然由来素材では効果が大きい
ケースもあります。
■実際にどこまで充填できるのか?
●素材や装置にもよりますが、一般的な目安は以下の通りです。
配合内容 充填量目安
・タルク、炭カル : 30~70wt%
・ガラスビーズ : 20~60wt%
・セルロース : 10~50wt%
・木粉 : 20~60wt%
・酵母、食品残渣 : 10~50wt%
※適切なスクリュー設計と乾燥管理を行えば、70wt%以上の
高充填化が可能なケースもあります。
ただし、加工性や最終用途とのバランス検討が必要です。
■まとめ
●生分解性樹脂でも高充填コンパウンドは十分可能です。
しかし、一般樹脂と比較すると
・熱劣化
・加水分解
・分散不良
・強度低下
等のリスクが高くなります。
成功ポイントは、
☑原料乾燥
☑スクリュー設計最適化
☑サイドフィード活用
☑相溶化技術活用
です。
高充填化はコストダウンだけでなく、機能性付与や環境価値向上
にも繋がる重要な技術です。
適切な配合設計と加工条件を検討しながら開発を進めていきましょう!






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