PLAコンパウンドの失敗事例から学ぶスクリュー設計の考え方!
- n6nomura
- 6月22日
- 読了時間: 3分
近年、環境配慮材料として注目されているPLA(ポリ乳酸)
フィルム、シート、射出成型品などの幅広い分野で採用が
進んでいます。
しかし、PLAは一般的なポリオレフィン樹脂と比較して
熱やせん断に弱く、コンパウンド時の条件設定によって
品質が大きく左右される樹脂です。
特に重要なのが【スクリュー設計】です。
同じ原料を使用しても、スクリュー設計が適切でなければ
分子量低下や黄変、物性低下を引き起こします。
今回は、PLAコンパウンドにおいて重要となるスクリュー設計の
考え方について解説します。
■PLAがスクリュー設計に敏感な理由
●PLAはポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)に比べて
熱安定性が低く、以下のような特徴があります。
・熱分解しやすい
・加水分解しやすい
・過度なせん断で分子量が低下する
・滞留による黄変が発生しやすい
その為、【しっかり混ぜる】だけでは不十分です。
PLAでは、【必要な混練を行いながら、余分な熱とせん断を与えない】
という考え方が重要になります。
■PLAコンパウンドに求められるスクリュー設計
①過度なせん断を避ける
●PLAはせん断発熱によって分解が進行します。
その為、
・ニーディングブロックの入れすぎ
・強すぎる逆転エレメント
・高圧縮設計
は注意が必要です。
※例えば、PPコンパウンドでは問題ない設計でも、PLAでは
トルク上昇や分子量低下を引き起こす場合があります。
必要以上の混練は品質悪化に繋がる為
【最小限のせん断で目的の分散を達成する】
事が重要です。
②滞留を減らす設計
●PLAは長時間高温状態に置かれると熱分解します。
その為、
・デッドスペースの削減
・材料のスムーズな搬送
・過度な逆流防止
を意識した設計が有効です。
※滞留時間が長くなると、
・黄変
・黒点
・異臭
・MFR上昇
等のトラブルに繋がります。
③脱気性能を確保する
●PLAは水分に非常に敏感です。
微量な水分でも高温化では加水分解が進行します。
その為、
・ベント部の設置
・真空脱気の活用
は非常に重要です。
※特に
・セルロース
・木粉
・澱粉
・天然繊維
等、吸湿性フィラーを使用する場合は必須レベルとなります。
④フィラー分散とのバランスを取る
●PLAコンパウンドでは、
・タルク
・炭酸カルシウム
・セルロース
・木粉
・バイオマスフィラー
等を配合するケースが多くあります。
※フィラー分散を優先すると
・ニーディングを増やす
・混練長を長くする
方向になりますが、PLAにとっては分解リスクが
増加します。
その為、【分散性能】と【樹脂保護】のバランスが
重要になります。
経験上、PLAではPP以上にスクリュー構成の最適化が
品質へ直結します。
■PLAコンパウンドでよく見られる失敗例
①ニーディングを増やしすぎる
・トルク上昇
・温度上昇
・分子量低下
・物性低下
②脱気不足
・加水分解
・気泡
・フィルム不良
③滞留部が多い
・黄変
・黒点
・焦げ
④汎用PP用スクリューをそのまま使用
・PLAに対してせん断過多
・品質バラつき増加
■PLAコンパウンド向けスクリュー設計の基本方針
●PLAコンパウンドでは、
・必要最低限のせん断
・スムーズな搬送
・十分な脱気
・短い滞留時間
この4点が基本になります。
特に、【混ぜる事】よりも【分解させない事】を
優先する設計が重要です。
■まとめ
●PLAコンパウンドでは、スクリュー設計が製品品質を
大きく左右します。
一般樹脂と同じ感覚で混練を強めると、分子量低下や
黄変 等のトラブルが発生しやすくなります。
重要なのは、
・過度なせん断を避ける
・滞留を減らす
・脱気を強化する
・フィラー分散とのバランスを取る
という考え方です。
PLAは【しっかり混ぜる樹脂】ではなく
【出来るだけ傷めずに混ぜる樹脂】である事を
理解したスクリュー設計が、高品質なコンパウンド製造
への近道となります。






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