樹脂が黄変する原因とは?熱劣化・酸化・滞留の違いと対策を徹底解説
- n6nomura
- 5月19日
- 読了時間: 4分
樹脂コンパウンドや押出成形の現場で発生する代表的な
不良の一つが【黄変(おうへん)】です。
本来は透明・白色・淡色であるはずの樹脂が黄色~茶色っぽく
変色してしまい
・製品外観の悪化
・品質クレーム
・物性低下
・異臭発生
等に繋がるケースも少なくありません。
しかし実際には、【黄変】と一言で言っても原因は様々であり
・熱による劣化
・酸化による変色
・押出機内の滞留
・添加剤の影響
・水分由来の分解
等、発生メカニズムは大きく異なります。
この記事では、二軸押出機・コンパウンド現場で多い
【黄変の原因】と、それぞれの違いや対策について
分かりやすく解説します。
■樹脂が黄変する主な原因
①熱劣化による黄変
●最も多い原因が【熱劣化】です。
樹脂は高温状態が長く続くと分子構造が壊れ
黄変が発生します。 特に、
・シリンダー温度が高すぎる
・回転数が低すぎる
・滞留時間が長い
・過混錬状態
等で発生しやすくなります。
※熱劣化の特徴
・黄色~茶色への変色
・焦げ臭いニオイ
・トルク上昇
・ゲル発生
・黒点混入
等を伴う事があります。
※熱劣化しやすい樹脂例
・PVC
・POM
・TPU
・生分解性樹脂
・難燃系樹脂
・PA系
特に熱履歴の弱い材料では、数℃の差でも黄変が大きく
変わることがあります。
②酸化による黄変
●次に多いのが【酸化劣化】です。
樹脂が高温状態で空気(酸素)に触れる事で化学反応が
進み黄変します。
これは熱だけでなく、【酸素の存在】が大きなポイントです。
酸化黄変の特徴としては、
・徐々に黄色くなる
・成形直後より時間経過で悪化
・表面側だけ変色する事がある
・長時間加熱で発生しやすい
※酸化しやすい条件
・ベント部から空気巻き込み
・原料投下部での過加熱
・押出量不足
・長時間運転
・パージ不足
※対策
・シリンダー温度最適化
・窒素置換
・酸化防止剤の追加
・滞留低減
・定期パージ
等が有効です。
③押出機内の滞留による黄変
●実際の現場では非常に多い原因です。
スクリューやシリンダー内部に樹脂が滞留すると
その部分だけ長時間加熱され、炭化・劣化します。
その劣化物が少しずつ流出する事で
・黄色い筋
・茶色い異物
・黒点
・色ムラ
として現れます。
※滞留しやすい場所
●スクリュー構成の切替部
・ニーディング後
・逆ネジ部
・深溝変化部
・ダイ内部(流れが悪い場所で残りやすい)
・ベント付近(発泡や樹脂巻き上がりによって滞留しやすい)
※滞留黄変の特徴
・一定周期で発生
・立ち上げ直後に多い
・色の濃い異物が混ざる
・パージ後に改善する
という特徴があります。
④添加剤・フィラー由来の黄変
●樹脂そのものではなく、添加剤が原因になるケースも
あります。 例えば、
・難燃剤
・酸化防止剤
・滑剤
・カップリング剤
・顔料
等、特に難燃系は熱履歴で黄変しやすいものも多く
配合バランスが重要です。
⑤水分による分解黄変
●吸湿性樹脂では、水分による加水分解が黄変原因に
なる事があります。代表例として、
・PA
・PET
・PC
・TPU
等、乾燥不足のまま投入すると
・分子量低下
・ガス発生
・黄変
・強度低下
に繋がります。
■黄変原因を見分けるポイント
●黄変状態毎の特徴
状態 主な原因
・全体的に黄色い : 熱劣化・酸化
・茶色異物が混ざる : 滞留
・時間経過で黄変 : 酸化
・立ち上げ時だけに発生 : 滞留
・強いニオイがある : 熱劣化
・フィッシュアイが伴う : 劣化ゲル
■黄変対策の基本
①温度を必要以上に上げない
●高温ほど劣化速度は加速します。
【混ざらないから温度を上げる】は、黄変の典型原因です。
②滞留を減らす
・スクリュー構成見直し
・デッドスペース削減
・回転数最適化
・定期パージが重要です。
③原料乾燥を徹底する
●特に吸湿性樹脂では非常に重要です。
乾燥不足は黄変だけでなく、物性低下にも直結します。
■まとめ
●樹脂の黄変は単純な【温度の上げすぎ】だけではありません。
実際には、
・熱劣化
・酸化
・滞留
・添加剤影響
・水分分解
等、複数要因が絡み合って発生しているケースが
非常に多いです。
特に二軸押出機では
・スクリュー構成
・滞留ポイント
・回転数
・L/D
・温度設定
・供給量
によって発生状況は大きく変わります。
その為、【黄変=温度を下げる】だけでは根本的改善に
ならないケースも少なくありません。






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