樹脂に酸化防止剤を配合して得られる物性
- n6nomura
- 3月5日
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更新日:3月5日
樹脂に酸化防止剤(Antioxidant)を配合すると、
主に熱、酸素、光、加工ストレスによる劣化を防ぎ、
長期安定性が大きく向上します。
以下出来るだけ細かく、物性向上ポイントを整理しご説明いたします。
■樹脂に酸化防止剤を配合する事で得られる主な物性向上
①熱酸化劣化の抑制(耐熱老化性の大幅向上)
※樹脂加工時、使用時に酸素と熱により分解しやすいですが
酸化防止剤により次に効果が得られます。
・ラジカル発生を抑える/捕捉する。
・過酸化物の分解を促進し、分解連鎖を停止。
・高温での分子量低下を防止。
※成果物性
・引張強度、伸びの維持。
・衝撃強度の維持
・変色の抑制(黄変防止)
・分子量の安定(MFRの急上昇防止)
②加工安定性の向上
※押出、射出成型時の熱負荷により樹脂は分解しやすいですが
酸化防止剤を配合すると、以下の改善が見られます。
・メルトフラクチャー抑制
・黒点(ゲル化)の抑制
・樹脂の焼け、焦げ減少
・ロングラン生産での品質安定化
※成果物性
・成形時の色安定性向上
・MFR(溶融流動性)の一定化
・成形品の外観不良が減少
③光による劣化抑制(耐候性向上) UV系との併用が一般的
※酸化防止剤単体では光劣化体制は限定的ですが、光で発生する
ラジカルを捕捉する為、耐候性が向上します。
※成果物性
・屋外での黄変、白化抑制
・表面のチョーキング抑制
・物性劣化(特に衝撃強度)を減少
④長期機械特性の維持
※酸化劣化は分子量低下による延性の喪失を招きます。
酸化防止剤を配合すると、長期的に以下の物性が維持されます。
・引張強度保持率UP
・曲げ強度保持率UP
・衝撃強度保持率UP
・クリープ耐性UP
・披露耐性UP
※特にポリオレフィン(PE/PP)やエラストマーなどは恩恵が大きい。
⑤電気特性の安定化
※酸化劣化すると電気特性(絶縁抵抗 等)が低下しますが
酸化防止剤配合により、次の特性が安定します。
・体積低効率の維持
・誘電率の変化抑制
・誘電正接の増加抑制
→電線、ケーブルや電子部品グレード 等で重要。
⑥樹脂の寿命延長(耐久性向上)
※酸化劣化が大幅に抑えられる為、製品寿命が延びます。
・屋外製品
・自動車内装、外装部品
・電線、ケーブル
・家電筐体
・工業部材
※これらは長期使用時の信頼性が求められる為、酸化防止剤の
有無で耐用年数が大きく変化します。
■酸化防止剤の種類と効果の違い
①一次酸化防止剤(フェノール系)
作用: ラジカル捕捉
・最もベーシックな酸化防止剤
・加工時よりも、使用中の長期安定に効く
→長期熱安定性、黄変抑制が強い
②二次酸化防止剤(リン系、チオエステル)
作用: 過酸化物(ROOH)分解
・高温加工時の分解抑制に強い
→加工安定性、色安定性が大きく向上
③途ヒンダードアミン系(HALS) 耐候用途
作用: 光で発生するラジカルを抑制
→屋外用途の耐候性向上に必須






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