樹脂に難燃剤を配合して得られる物性
- n6nomura
- 4 日前
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樹脂(プラスチック)に難燃剤を配合すると、主に「燃えにくくする」事が目的ですが、
実際にはそれ以外にも多くの物性変化が起こります。
材料設計ではかなり重要な添加剤です。
以下に、細かく整理致します。
■樹脂に難燃剤を配合する事で得られる物性
①難燃性(最も重要)
※最も大きな効果です。
・主な効果
→自己消化性の付与
→燃焼速度の低下
→燃焼の拡大防止
→燃焼時の滴下抑制
■代表的評価試験
・UL94燃焼試験
→ V-0
→ V-1
→ V-2
→ HB
※V-0が最も難燃性が高い
■メカニズム
※難燃剤は主に3つの作用をします。
1.ガス相難燃(燃焼ラジカル捕捉)
2.炭化層(チャー層)形成
3.吸熱分解(燃焼温度を下げる)
②発煙抑制
※難燃剤の種類によっては
・煙の発生量を低減
・有毒ガス低減
※特に、リン系、水酸化物系 で効果が高い。
③熱安定性向上
※燃焼温度に近い領域で
・熱分解温度の上昇
・熱劣化抑制
が起こる場合があります。
ただし、種類によっては逆に低下する場合もあります。
④炭化層(チャー)形成
※リン系難燃剤 等では表面に炭化層が形成されます。
これにより
・酸素遮断
・熱遮断
・可燃ガス抑制
が起こります。
⑤熱伝導率の変化
※無機系難燃剤(多くは粉体)の場合
・水酸化マグネシウム
・水酸化アルミニウム
の充填量が多くなる為、熱伝導率向上が起こる事があります。
⑥機械物性の変化
※難燃剤は添加量が多いので、機械特性は大きく変化します。
・強度
→引張強度低下
→曲げ強度低下
※フィラー量増加の為
・剛性
→曲げ弾性率向上
・衝撃強度
→低下する事が多い
⑦流動性(成形性)
※難燃剤は通常10~60%添加される為
・溶融粘度上昇
・流動性低下
つまり、成形が難しくなる事が多い
⑧比重増加
※無機難燃剤の場合比重が増加します。
・例
材料 比重
・PP : 0.9
・難燃PP : 1.2~1.6
※軽量化設定では注意が必要。
⑨電気特性
※種類によっては変化します。
・良い変化
→絶縁性向上
・悪い例
→誘電率増加
※電子部品では重要
⑩耐トラッキング性向上
※電気製品で重要
・絶縁破壊防止
・電気火災防止
⑪耐候性の変化
※難燃剤の種類によっては
・紫外線劣化
・変色
が発生します。 特に
・臭素系難燃剤
で起こる事があります。
■主な難燃剤の種類
種類 特徴
・臭素系 : 少量で高難燃
・リン系 : 低煙、環境対応
・窒素系 : ハロゲンフリー
・水酸化アルミニウム : 吸熱分解
・水酸化マグネシウム : 高温難燃
・膨張型難燃剤 : チャー形成
■添加量の目安
種類 添加量
・臭気系 : 5~20%
・リン系 : 10~30%
・水酸化物 : 40~60%
■難燃剤が使用される製品
・家電筐体
・電子部品
・自動車内装
・電線被覆
・建材






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