マスターバッチがうまく分散しない原因とは?混錬不良を防ぐ為の確認ポイント
- n6nomura
- 6月2日
- 読了時間: 4分
樹脂コンパウンドや着色工程でよく使用される
【マスターバッチ】しかし実際の試作や量産では、
・色ムラが出る
・添加剤が偏る
・白点や黒点が発生する
・フィッシュアイが出る
・物性が安定しない
といった、【分散不良】に悩まされるケースが少なくありません。
特に二軸押出機では、
原料条件・投入方法・スクリュー構成・温度条件 等
様々な要因が複雑に絡み合う為、単純に
【回転数を上げれば解決】というものではありません。
本記事では、マスターバッチがうまく分散しない原因と
現場で確認したい改善ポイントをわかりやすく解説します。
■マスターバッチが分散しない主な原因
①樹脂との相性が悪い
●最も多い原因の一つが、ベース樹脂との相溶性不足です。
例えば、
・PP系マスターバッチをPEへ使用
・汎用キャリアをエンプラに使用
・極性差が大きい組み合わせ
等では、樹脂中へ均一に広がりにくくなります。
※発生しやすい不具合
・色ムラ
・添加剤偏折
・ダマ残り
・表面荒れ
※対策
・ベース樹脂に近いキャリアを選定
・相溶化剤の使用検討
・専用マスターバッチへの変更
特に高濃度マスターバッチは、キャリア設計が非常に重要です。
②混錬エネルギー不足
●二軸押出機では、
【しっかり混ざっているように見えて実は分散不足】
というケースも多くあります。
混錬エネルギーが不足すると、マスターバッチの
凝集体が残りやすくなります。
※主な原因
・スクリュー回転数が低い
・滞留時間不足
・ニーディング部不足
・L/D不足
・スクリュー構成が弱い
※よくある現象
・黒点
・色スジ
・未分散粒子
・フィルター詰まり
※対策
・ニーディングディスク追加
・回転数最適化
・滞留時間確保
・分散ゾーン見直し
ただし、混錬を強くしすぎると熱劣化や分子量低下に
繋がる為、バランスが重要です。
③温度条件が最適でない
●温度が低すぎると樹脂粘度が高くなり、マスターバッチが
広がりにくくなります。
逆に高すぎても、
・添加剤揮発
・樹脂劣化
・色変化
等の問題が起こります。
特に注意したいポイントとして、
※温度が低い場合
・トルク上昇
・ダマ残り
・ストランド不安定
※温度が高い場合
・焼け
・黄変
・ガス発生
・臭気増加
※対策
・樹脂ごとの適正温度確認
・実樹脂温度測定
・バレル温度だけで判断しない
実際には【設定温度】よりも、
【実際に樹脂に加わる熱】が重要です。
④投入方法に問題がある
●投入タイミングや供給状態によっても、
分散性は大きくわかります。
※よくあるケース
・主材料と混ざらず偏って伊藤入
・サイドフィーダー直後で溶融不足
・ブリッジによる脈動供給
※発生しやすい現象
・濃淡ムラ
・局所凝集
・異物状未分散
※対策
・プレミックス実施
・フィーダー安定化
・投入位置変更
・供給量見直し
特に軽量粉体系マスターバッチは供給変動が
起こりやすい為、注意が必要です。
⑤マスターバッチ自体の品質問題
●実は設備条件ではなく、マスターバッチ側に
原因があるケースもあります。
※例
・顔料凝集
・水分混入
・ペレット硬度バラつき
・ロット差
※こんな症状が出来る事も
・同条件でも再現しない
・ロットで色が変わる
・特定条件だけで異常発生
※対策
・ロット確認
・水分測定
・メーカーへ分散性確認
・ペレット断面観察
試作では【設備側だけ疑わない】事も重要です。
⑥添加量が多すぎる
●高濃度添加では、一気に分散難易度が上がります。
特に、
・無機フィラー高充填
・難分散顔料
・CNT
・セルロース系
・ナノ材料
等は、通常条件では混ざりきらない事があります。
※対策
・多段希釈
・プレコンパウンド化
・分散助剤使用
・スクリュー構成強化
【とりあえず投入量を増やす】は逆効果になる事も
多いです。
■現場で確認したいチェックポイント
●マスターバッチ分散不良時は、以下を順番に
確認すると原因を切り分けしやすくなります。
※チャック項目
・樹脂との相性
・温度条件
・回転数
・吐出量
・スクリュー構成
・フィーダー安定化
・原料水分
・投入位置
・マスターバッチ品質
・滞留や焼けの有無
一つずつ整理して確認すると、改善の糸口が
見つけやすくなります。
■まとめ
●マスターバッチがうまく分散しない原因は一つではなく
複数要因が重なっている事がほとんどです。
特に二軸押出機では、
・樹脂相性
・混錬エネルギー
・温度条件
・投入方法
・原料品質
これらを総合的にみる必要があります。
また、【混ぜる力を強くする】だけでは解決せず
時には劣化や焼けを招く事もあります。
分散不良が発生した場合は、感覚だけで調整するのではなく
一つずつ条件を整理して原因を切り分ける事が
安定したコンパウンド品質への近道です。






コメント