生分解性樹脂はなぜ加水分解する?分子量低下との関係をわかりやすく解説
- n6nomura
- 2 日前
- 読了時間: 4分
生分解性樹脂を成形加工していると、
・樹脂が脆くなる
・フィルムが破れやすくなる
・強度が出ない
・成型中に異臭や黄変が発生する
といったトラブルに遭遇する事があります。
その原因の一つが【加水分解】です。
特にPLA(ポリ乳酸)やPBS、PBAT等の生分解性樹脂は
水分の影響を受けやすく、保管方法や乾燥条件が不適切だと
樹脂の分子量が低下し、製品品質に大きな影響を与えます。
今回は、生分解性樹脂が加水分解する理由と、分子量低下との
関係について解説します。
■生分解性樹脂の加水分解とは?
●加水分解とは、水分によって高分子が切断される現象です。
生分解性樹脂の多くは【エステル結合】を持っています。
このエステル結合は水と反応しやすく、水分と熱が存在すると
分子鎖が切断されます。
イメージとしては、
・長い鎖→短い鎖へ分解する
状態です。
※生分解性樹脂が自然環境で分解しやすい理由も
この加水分解しやすい構造を持っている為です。
■なぜ生分解性樹脂は加水分解しやすいのか?
①エステル結合を多く含んでいる為
●PLAやPBA、PBAT等は、主鎖にエステル結合を持っています。
エステル結合は水分と反応しやすく、熱が加わる事で反応速度
が大きく向上します。
押出機や射出成型機内では、
・高温
・高圧
・水分存在
という条件が揃う為、加水分解が発生しやすくなります。
②吸湿した水分が樹脂内部に残る為
●樹脂ペレットは保管中に空気中の水分を吸収します。
見た目には乾いていても、内部には微量の水分が含まれて
いる事があります。
その為、生分解性樹脂では成形前の十分な乾燥が非常に
重要になります。
③滞留時間が長いと反応は進む為
●押出機や射出成型機内で樹脂が長時間滞留すると
・熱
・水分
・酸素
の影響を受け続けます。
その結果、加水分解や熱分解が進行し、分子量低下が
加速します。
試作や少量生産では特に注意が必要です。
■加水分解と分子量低下の関係
●樹脂の性能は【分子量】に大きく左右されます。
分子量とは簡単に言えば、
【分子の長さ】です。
加水分解によって、分子鎖が切断されると、
分子量が低下します。
例えば、
・100個の部品が繋がった鎖
↓
・50個の部品が繋がった鎖
↓
・20個の部品が繋がった鎖
というように、短くなっていきます。
これが分子量低下です。
■分子量が低下すると何が起こる?
①強度低下
●引張強度や衝撃強度が低下します。
フィルムやシートでは破れやすくなり、成形品では
割れやすくなります。
②溶融粘度低下
●樹脂がサラサラになりすぎる為、
・ダイ垂れ
・肉厚不安定
・寸法バラつき
等の問題が発生します。
③成形不良の増加
●分子量が大きく低下すると
・糸引き
・発泡
・銀条
・表面荒れ
等の成形不良に繋がる場合があります。
④最終製品寿命の低下
●成形時に既に分子量が低下していると、製品として使用中の
耐久性も低下します。
その為、加工時の分子量管理は非常に重要です。
■加水分解を防ぐ為のポイント
①適切な事前乾燥を行う
●生分解性樹脂はメーカー推奨条件で十分に乾燥させましょう。
特にPLAは乾燥不足によるトラブルが多く発生します。
②開封後は速やかに使用する
●開封後は空気中の水分を吸収しやすくなります。
長時間放置せず、出来るだけ早く使用する事が重要です。
③滞留時間を短くする
●押出機や射出成型機内での滞留を最小限に抑える事で
加水分解や熱劣化を低減できます。
④保管環境を管理する
●防湿袋や乾燥剤を活用し、温度の低い環境で保管する事が
推奨されます。
■まとめ
●生分解性樹脂はエステル結合を持つ為、水分と熱によって
加水分解しやすい特徴があります。
加水分解が進行すると分子鎖が切断され、分子量が低下します。
分子量低下は、
・強度低下
・粘度低下
・成形不良
・製品寿命低下
といった品質問題に繋がります。
生分解性樹脂を安定して加工する為には、
【乾燥】【保管】【滞留時間管理】
が非常に重要です。
品質トラブルを防ぐ為にも、加水分解と分子量低下の
関係を正しく理解し、適切な加工条件を管理しましょう。






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