生分解性樹脂の混錬で重要な【せん断】とは?品質を左右するポイントをわかりやすく解説
- n6nomura
- 21 時間前
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生分解性樹脂のコンパウンドや押出加工を行う際
【せん断】という、言葉を耳にする機会が多いのではないでしょうか?
せん断は樹脂の分散性や混練品質を向上させる為に
欠かせない要素ですが、生分解性樹脂の場合は与えすぎても
問題が発生します。
特にPLA(ポリ乳酸)やPBS、PBAT等の生分解性樹脂は
熱やせん断による劣化を受けやすい為、適切なせん断管理
が品質安定の重要なポイントとなります。
今回は、生分解性樹脂の混練における【せん断】の考え方
についてわかりやすく解説します。
■生分解性樹脂の混練における【せん断】とは?
●せん断とは、樹脂内部で発生する【ズレる力】の事です。
押出機や混練機のスクリューが回転すると、樹脂は流動しながら
互いに引っ張られたり押されたりします。
この時に発生する力がせん断です。
イメージとしては、トランプの束を横方向にずらす動きに近く
樹脂の層同士が滑る事でせん断が発生します。
混練工程では、このせん断を利用して材料を均一に
分散させています。
■なぜ混練にはせん断が必要なのか?
●混練の目的は、樹脂と添加剤を均一に分散させる事です。
例えば
・無機フィラー
・木粉
・炭酸カルシウム
・着色剤
・相溶化材
・CO₂吸収剤
等を配合する場合、十分なせん断が無ければダマや凝集
が残ってしまいます。
適度なせん断を与える事で、
・フィラー分散性向上
・着色ムラの改善
・特性の均一化
・外観品質の向上
といった効果が得られます。
■生分解性樹脂はせん断に弱い
●ここが一般的なポリオレフィンとの大きな違いです。
生分解性樹脂は分子構造上、せん断による分子鎖切断が
発生しやすい特徴があります。
特にPLAでは、
・高温
・長時間滞留
・過度なせん断
が重なると分子量低下が進行します。
その結果、
・強度低下
・脆化
・黄変
・発泡不良
・フィルム破れ
・成形不安定
等の問題が発生します。
※つまり、
【混ざるからと言って、せん断を強くすればいいわけではない】
ということです。
■せん断が高すぎる場合のトラブル
①樹脂温度が上昇する
●せん断エネルギーは熱に変換されます。
設定温度180℃でも、実際には樹脂温度190℃~200℃
以上になるケースもあります。
生分解性樹脂では、この実温度上昇が劣化の原因となります。
②分子量が低下する
●過度なせん断により分子鎖が切断されると、樹脂の分子量が低下します。
その結果、
・MFR上昇
・粘度低下
・強度低下
等が発生します。
※加工中は問題なく見えても、製品化後に物性不足が
発覚する事もあります。
③黄変や焦げが発生する
●せん断発熱による局所的な温度上昇は、樹脂の熱分解を
促進します。
特にPLAでは、
・黄変
・黒点
・焦げ
等の外観不良として現れる事があります。
■せん断不足のトラブル
●一方でせん断が不足すると十分な混錬が出来ません。
例えば、
・フィラー凝集
・色ムラ
・異物感
・物性バラつき
等が発生します。
※特に高充填コンパウンドでは適切なせん断エネルギーが
不可欠です。
■生分解性樹脂で重要なのは【適切なせん断】
●生分解性樹脂の混練では、
【必要最小限のせん断で最大限の分散を得る】
という考え方が重要です。
具体的には、
・スクリュー回転数を上げすぎない
・混練ブロックを過剰に配置しない
・滞留時間を短くする
・樹脂温度を常に確認する
・十分な乾燥を行う
等の、工夫が有効です。
※単純に【混ざらないから回転数を上げる】という対応は
かえって品質悪化に繋がる場合があります。
■まとめ
●生分解性樹脂の混練における【せん断】は、フィラーや
添加剤を均一に分散させる為に欠かせない要素です。
しかし、PLAをはじめとする生分解性樹脂はせん断による
劣化を受けやすく、過度なせん断は分子量低下や黄変
物性低下の原因となります。
重要なのは、【強いせん断】ではなく【適切なせん断】です。
混練品質と樹脂劣化のバランスを見極めながら条件設定を
行う事で、高品質な生分解性樹脂コンパウンドの製造が
可能になります。
生分解性樹脂の加工では、常に【混ぜる】と【劣化させない】
の両立を意識する事が成功のポイントです。






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