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生分解性樹脂の混錬で重要な【せん断】とは?品質を左右するポイントをわかりやすく解説

  • n6nomura
  • 21 時間前
  • 読了時間: 4分

生分解性樹脂のコンパウンドや押出加工を行う際

【せん断】という、言葉を耳にする機会が多いのではないでしょうか?


せん断は樹脂の分散性や混練品質を向上させる為に

欠かせない要素ですが、生分解性樹脂の場合は与えすぎても

問題が発生します。


特にPLA(ポリ乳酸)やPBS、PBAT等の生分解性樹脂は

熱やせん断による劣化を受けやすい為、適切なせん断管理

が品質安定の重要なポイントとなります。


今回は、生分解性樹脂の混練における【せん断】の考え方

についてわかりやすく解説します。



■生分解性樹脂の混練における【せん断】とは?

●せん断とは、樹脂内部で発生する【ズレる力】の事です。

 押出機や混練機のスクリューが回転すると、樹脂は流動しながら

 互いに引っ張られたり押されたりします。

 この時に発生する力がせん断です。


 イメージとしては、トランプの束を横方向にずらす動きに近く

 樹脂の層同士が滑る事でせん断が発生します。


 混練工程では、このせん断を利用して材料を均一に

 分散させています。



■なぜ混練にはせん断が必要なのか?

●混練の目的は、樹脂と添加剤を均一に分散させる事です。

 例えば

・無機フィラー

・木粉

・炭酸カルシウム

・着色剤

・相溶化材

・CO₂吸収剤

 等を配合する場合、十分なせん断が無ければダマや凝集

 が残ってしまいます。


 適度なせん断を与える事で、

・フィラー分散性向上

・着色ムラの改善

・特性の均一化

・外観品質の向上

 といった効果が得られます。



■生分解性樹脂はせん断に弱い

●ここが一般的なポリオレフィンとの大きな違いです。

 生分解性樹脂は分子構造上、せん断による分子鎖切断が

 発生しやすい特徴があります。

 特にPLAでは、

・高温

・長時間滞留

・過度なせん断

 が重なると分子量低下が進行します。

 

 その結果、

・強度低下

・脆化

・黄変

・発泡不良

・フィルム破れ

・成形不安定

 等の問題が発生します。


※つまり、

 【混ざるからと言って、せん断を強くすればいいわけではない】

 ということです。



■せん断が高すぎる場合のトラブル


①樹脂温度が上昇する

●せん断エネルギーは熱に変換されます。

 設定温度180℃でも、実際には樹脂温度190℃~200℃

 以上になるケースもあります。


 生分解性樹脂では、この実温度上昇が劣化の原因となります。


②分子量が低下する

●過度なせん断により分子鎖が切断されると、樹脂の分子量が低下します。

 その結果、

・MFR上昇

・粘度低下

・強度低下

 等が発生します。


※加工中は問題なく見えても、製品化後に物性不足が

 発覚する事もあります。


③黄変や焦げが発生する

●せん断発熱による局所的な温度上昇は、樹脂の熱分解を

 促進します。

 特にPLAでは、

・黄変

・黒点

・焦げ

 等の外観不良として現れる事があります。



■せん断不足のトラブル

●一方でせん断が不足すると十分な混錬が出来ません。

 例えば、

・フィラー凝集

・色ムラ

・異物感

・物性バラつき

 等が発生します。


※特に高充填コンパウンドでは適切なせん断エネルギーが

 不可欠です。



■生分解性樹脂で重要なのは【適切なせん断】

●生分解性樹脂の混練では、

 【必要最小限のせん断で最大限の分散を得る】

 という考え方が重要です。

 具体的には、

・スクリュー回転数を上げすぎない

・混練ブロックを過剰に配置しない

・滞留時間を短くする

・樹脂温度を常に確認する

・十分な乾燥を行う

 等の、工夫が有効です。


※単純に【混ざらないから回転数を上げる】という対応は

 かえって品質悪化に繋がる場合があります。



■まとめ

●生分解性樹脂の混練における【せん断】は、フィラーや

 添加剤を均一に分散させる為に欠かせない要素です。


 しかし、PLAをはじめとする生分解性樹脂はせん断による

 劣化を受けやすく、過度なせん断は分子量低下や黄変

 物性低下の原因となります。


 重要なのは、【強いせん断】ではなく【適切なせん断】です。


 混練品質と樹脂劣化のバランスを見極めながら条件設定を

 行う事で、高品質な生分解性樹脂コンパウンドの製造が

 可能になります。


 生分解性樹脂の加工では、常に【混ぜる】と【劣化させない】

 の両立を意識する事が成功のポイントです。










生分解性樹脂の混練を解説するポスター。作業服の男性が指を上げ、押出機と樹脂粒、カギ!などの説明文がある。

 
 
 

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