樹脂にセルロースナノファイバーを配合して得られる物性
- n6nomura
- 3月2日
- 読了時間: 3分
更新日:3月5日
樹脂にセルロースナノファイバー(CNF)を配合すると、単なる「補強材」以上の
多面的な物性向上が得られます。
■CNF配合によって得られる主な物性向上
①高剛性化(ヤング率・曲げ弾性率の向上)
・CNFはヤング率100~150GPa級の非常に高剛性な材料。
・ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE) 等の樹脂に配合すると
5~50wt%で20~200%以上の剛性向上が期待できる。
・樹脂内部でナノレベルの繊維補強材として働き、荷重伝達効率が高い。
※メカニズム
CNFは高アスペクト比(長さ/経比100以上)を持ち、樹脂マトリックス内
でネットワーク構造を作る為、応力伝達効率が大きい。
②強度(引張・曲げ強度)の向上
・適切に分散できれば、引張強度10~80%向上の例が多い。
・特に極性樹脂(PA6、PA66、PBT、PLA 等)との相性が良い
※メカニズム
CNF表面には多数の水酸基があり、樹脂(特に極性基を持つもの)
と水素結合・界面相互作用を形成し、界面強度が高まる。
③耐熱性・熱変形温度(HDT)の向上
・マトリックス内でCNFが「微細骨格」のように働く為
HDTが10~40℃上昇する場合がある。
・PLAやバイオ樹脂では特に顕著
※メカニズム
CNFの高耐熱性とネットワーク構造により、樹脂の変形を抑制する。
④線膨張係数の低減(寸法安定性向上)
・CNFはほとんど熱膨張しない材料の為、樹脂に配合すると
熱膨張係数(CTE)が20~60%減少する例がある。
※メリット
・電気・電子部品や精密備品の寸法変動抑制
・熱サイクル耐性の改善
⑤耐衝撃性の変化(状況により「上昇」も「低下」もあり)
〇向上するケース(相溶性が良い場合)
・相互作用が良い樹脂(PLA、PA系)では、10~30%向上するケースも。
・CNFが亀裂進展を抑制するブリッジ構造となる。
〇低減するケース(PP、PEなど相溶性が低い場合)
・界面剥離が起きて衝撃でクラックが入りやすい。
→表面改質、CNF、カップリング剤処理で改善可能。
⑥ガスバリア性の向上
・CNFを数wt%加えるだけで酸素・水蒸気の透過度が1/2~1/10に
低減する報告が多数。
・フィルム用途に効果大。
※メカニズム
CNFが「ガスの通り道を曲げる」構造を作り、拡散経路が長くなる。
(トータスティ構造)。
⑦クリープ性の抑制(荷重変化が小さくなる)
・高アスペクト比のCNFネットワークが長時間変形を抑え
クリープ変形が大幅に低減(20~70%減)する事がある。
⑧難燃性の向上(条件付き)
・単独では燃えるが、CNFが炭化層(チャー)を形成する為
難燃性がわずかに向上する場合がある。
・他の難燃剤との併用で効果が大きくなる。
⑨透明性の維持(条件によっては透明)
・CNFは直径数nmの為、分散が良好なら樹脂の透明性を損なわない。
・透明補強材としても利用可能
⑩環境性能・LCA改善
・CNFは植物由来でカーボンニュートラル
・石油系フィラー(タルク、ガラス繊維)代替となり、CO2排出量や
比重の低減(軽量化)に繋がる。






コメント