樹脂にパルプを配合して得られる物性
- n6nomura
- 3月3日
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更新日:3月5日
樹脂にパルプ(セルロース繊維:木材パルプ)を配合すると、補強材としての
性質や環境面でのメリットにより、様々な物性変化は得られます。
「樹脂の種類×どの程度の配合量×パルプの長さ(L/D)」で大きく変化しますが
一般的なトレンドを細かく整理して説明します。
■樹脂にパルプを配合すると得られる主な物性変化
①剛性(曲げ弾性率)の向上
・パルプはセルロース由来でヤング率が高い(約10~20Gpa)
→PP、PE、PS 等の汎用樹脂の剛性を大きく改善する。
※例(目安)
PP+20wt%パルプ → 曲げ弾性率1.3~1.5倍
PP+30wt%パルプ → 1.6~1.9倍
②曲げ強度の向上
・樹脂との界面相性が良く、パルプが長繊維の場合は曲げ強度も
向上しやすい。
※改善幅
・10~20wt%で1.1~1.3倍程度が一般的
・高相溶化(カップリング剤添加)で1.4倍以上も可能
③引張強度(改善する場合と低下する場合どちらもある)
・パルプの「長さ」と「分散」がカギ。
※改善するケース
・長繊維パルプ
・乾式混錬ではなく樹脂側で表面処理済のパルプ
※悪化するケース
・パルプが短くなる(押出で折れる)
・樹脂との界面相性が悪い
④衝撃強度(一時的には低下)
※パルプは硬い為、衝撃負荷時クラックの起点になりやすい。
・衝撃強度の変化(例)
10wt%添加で0.7~0.9倍
20wt%添加で0.5~0.8倍
※改善策
・相溶化剤(MAPP、MAH系 等)
・長繊維を持つ混錬プロセス(低せん断)
・柔軟性樹脂とのブレンド
⑤耐熱性の向上(熱変形温度 HDT)
※パルプは夏膨張が小さい為、樹脂全体のHDTが上昇する。
・PPの場合(例)
PP : HDT約100℃
PP+30wt%パルプ : HDT110~125℃に上昇
⑥線膨張整数(CTE)の低減
※パルプは寸法安定性が高い → 成形品の反り改善
・特に以下で効果大
PP、PE 等の高CTE樹脂
金型寸法精度が要求される製品(ハウジング 等)
⑦比重の低下 → 軽量化
・パルプ密度(1.4~1.5)
一般樹脂よりやや軽い為、充填剤としては珍しく軽量化に付与。
※PPでの比較(例)
PP : 約0.90
PP+30wt%パルプ : 0.95~1.00程(タルク・ガラスと比べると軽い)
⑧吸水率の向上(弱点)
※パルプを配合した材料の最大のデメリット
・20wt%添加で、吸水率は0.5~2wt%程度に上昇。
・寸法変化、膨潤、強度低下の原因に
※対策
・パルプの表面処理
・疎水化剤
・相溶化材
・成形体の塗装(コーティング)
⑨表面外観の変化(木質感)
※樹脂に木粉ほどではないものの、ナチュラル感・マット感が出る。
・表面が明るい色調になる。(白色繊維の為)
・微細な繊維が散在して木質調になる。
・黒色の着色でも「木目風の深み」が出るケースがある。
⑩射出流動性は低下(粘度が上がる)
※パルプ繊維によりメルト粘度が上昇し、流動性は悪化。
・具体例(PP+30wt%パルプ)
メルトフローレイト(MFR): 1/2~1/4になる場合もあり。
※設計上の注意点
・ゲートを大きくする
・金型温度を高めに設定
・せん断発熱に注意
⑪環境性・サステナビリティの向上
・バイオマス度が上昇。
・CO2排出量低減に繋がる。
・プラ削減アピールが可能。(木質樹脂としても市場価値あり)






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