樹脂温度とシリンダー温度は何が違う?二軸押出機の基礎知識
- n6nomura
- 6月4日
- 読了時間: 4分
二軸押出機や射出成型機の条件設定を行う際に
よく出てくるのが【シリンダー温度】と【樹脂温度】です。
初心者の方は、
・シリンダー温度と樹脂温度は同じではないの?
・設定温度が200℃なら樹脂も200℃なの?
・なぜ樹脂が焼けたり分解するの?
と疑問に思う事も多いでしょう。
実は、シリンダー温度と樹脂温度は似ているようで
まったく異なる管理項目です。
この違いを理解する事で、品質トラブルの原因追及や
最適な加工条件の設定がしやすくなります。
今回は、樹脂加工初心者の方にもわかりやすく
樹脂温度とシリンダー温度の違いについて解説します。
■シリンダー温度とは?
●シリンダー温度とは、押出機や射出成型機のシリンダー外周に
取り付けられたヒーターによって設定、管理される温度の事です。
例えば、
・スクリュー根本: 180℃
・中間部 : 200℃
・ダイ直前 : 220℃
といった形で各ゾーン毎に設定します。
※シリンダー温度はあくまでも【機械側の設定温度】であり
実際に樹脂が何℃になっているかを直接示しているわけでは
ありません。
言い換えると、
【シリンダー温度=機械が作り出している過熱環境です。】
■樹脂温度とは?
●樹脂温度とは、実際に溶融した樹脂そのものの温度を指します。
樹脂はシリンダー内で加熱されるだけでなく、
・スクリュー回転によるせん断発熱
・樹脂同士の摩擦熱
・圧縮による発熱
等によって、温度が上昇します。
その為、シリンダー温度設定が220℃でも
実際の樹脂温度は
・230℃
・240℃
・場合によっては250℃以上
になっている事も珍しくありません。
※つまり、【樹脂温度=実際に材料が受けている温度】
なのです。
■なぜ樹脂温度の方が高くなるのか?
●二軸押出機では、スクリューが高速回転する事で
大きなせん断エネルギーが発生します。
イメージとしては、両手を強くこすり合わせると
熱くなるのと同じ原理です。
特に以下の場合は樹脂温度が上昇しやすくなります。
①スクリュー回転数が高い
・回転数が高いほどせん断発熱が増加します。
②フィラー高充填配合
・タルクやガラス繊維などを大量に配合すると
内部摩擦が増加します。
③高トルク運転
・スクリューに大きな負荷がかかると発熱量も増加します。
④混錬が強いスクリュー構成
・ニーディングディスクが多い場合はせん断エネルギーが
大きくなります。
■シリンダー温度だけ見ていると起こるトラブル
●初心者が陥りやすいのが、
【設定温度は問題ないから大丈夫】
という考え方です。
しかし、実際には樹脂温度が高くなりすぎて
①樹脂の焼け
・樹脂が茶色や黒色に変色する
②ガス発生
・揮発成分や分解ガスが発生する
③異臭
・材料が熱劣化して異臭が発生する
④物性低下
・分子量低下により強度が落ちる
⑤色調変化
・着色品で色味が変わる
このような問題が発生します。
■樹脂温度はどうやって測定する?
●最も一般的なのは、ダイ出口から吐出された樹脂に
温度刑を差し込んで測定する方法です。
また、
・メルト温度計
・熱電対センサー
・圧力、温度複合センサー
等を使用する場合もあります。
※試作開発では、シリンダー温度だけでなく樹脂温度も
必ず確認する事が重要です。
■実務で重要なのはどちら?
●結論から言うと、品質に直結するのは【樹脂温度】です。
シリンダー温度はあくまで設定値であり、実際に材料が
どのように熱履歴を受けたかは樹脂温度を見なければ
わかりません。 その為実務では、
・シリンダー温度
・スクリュー回転数
・吐出量
・トルク
・樹脂温度
をセットで管理する事が重要になります。
■まとめ
●シリンダー温度と樹脂温度は混合されやすいですが
それぞれ意味が異なります。
・シリンダー温度=機械の設定温度
・樹脂温度=実際の材料温度
樹脂はせん断発熱や摩擦熱によって温度が上昇する為
シリンダー設定温度よりも高くなることが一般的です。
品質トラブルを防ぐ為には、シリンダー温度だけを
見るのではなく、実際の樹脂温度を確認しながら
条件設定を行う事が重要です。
二軸押出機によるコンパウンド試作や量産検討では
【樹脂温度管理】が製品品質を左右する重要な
ポイントとなります。






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